遺言執行者を弁護士にする場合のメリット・デメリット
1 遺言執行者の選定について
遺言執行者については、弁護士になってもらう場合と、相続人や受遺者本人になってもらう場合とがあります。
遺言執行者の業務は、法的に専門的な部分が多いため、相続人間で思わぬトラブルになってしまう場合もあります。
そこで、遺言執行者を弁護士にする場合のデメリット、メリットについてご説明します。
2 デメリット
弁護士に遺言執行を依頼するデメリットとしては、相続が発生した後、遺言執行のための報酬がかかるという点があげられます。
遺言執行者を相続人や受遺者にしておけば、報酬については特にかからない場合が多いです。
気になる弁護士への報酬ですが、一般に、総財産の1%~3%程度が目安です。
また、ご生前中に、遺産の額を少なくしておけば、その分、弁護士に支払う報酬についても少なくなります。
なお、信託銀行に遺言執行を依頼した場合は、少なくとも、100万円以上の費用がかかる場合がありますので、注意が必要です。
3 メリット
遺言執行者を弁護士にするメリットとしては、遺言執行にかかる専門的な知識が必要な手続きを全て、弁護士に任せられることにあります。
遺言執行の際、必要になる手続きとしては、たとえば、相続人調査、相続財産調査、相続人への遺言執行就任の通知、財産目録等の開示、不動産の名義変更、預貯金の解約、受遺者への対応、執行状況の報告、執行完了の通知などがあげられます。
また、これらの手続きを行わなかった場合、遺言執行者は、相続人から損害賠償請求をされる場合があります。
実際、遺言執行者が遺言執行者就任の通知や財産目録の開示などをしなかった事例では、数十万円の損害賠償請求が認められています。
そのため、遺言執行者に弁護士を指定しておくと、このような法的手続きをすべて弁護士が行ってくれるため、相続人は安心して相続することができます。